今日はTung Chung Bay(東涌湾)に行ってきた。
今、出張で香港へ来ているのだが、1通のメールが届いた。
それは
葛西臨海公園鳥類園の方からで、今度香港へ行くときに東涌湾へ行ってみたいのでアクセス方法を教えて欲しいという内容だった。
こういうお問い合わせをいただくとブログを書いていて良かったなぁと思う。
いつおいでですか?と質問すると、なんと自分が休みをとって東涌湾へ行く日に来られるという。
なんという偶然!これは運命でしょう。神様にしくまれたとしか言いようがない!
早朝に九龍で合流し、東涌湾へ。ちょうど干潮だというのも運が良すぎ!
東涌川。
あれ?
なんじゃこりゃ?
糸状の緑藻が腐ってその下は嫌気状態に・・・
東涌川河口が死んでる・・・
いつもはこの場所でたくさんのドロアワモチ類が元気に活動して、たくさんのシオマネキ類がおいでおいでしてくれているのだが・・・
■ フナ属の1種 (Crucian Carp) Carassius sp.
ドロアワモチ類はいた!
Onchidium hongkongense (オンキディウム・ホンコンゲンセ)。
日本産のドロアワモチの学名は上記の学名があてはめられているが、香港産のものと同種かどうかは精査が必要なため、ドロアワモチの和名は使用していない。
■ Onchidium hongkongense (オンキディウム・ホンコンゲンセ) Onchidium hongkongense
何が起こってしまったのだろう。
この場所を紹介してくれたビリー博士に半べそでメールすると、冬はだいたいそんなもんだよと教えていただき、ちょっとホッとする。
それにしてもいきなりこんな光景を見るとびっくりしてしまう。
気をとりなおして目の前の自然を楽しむ。
今回は葛西臨海公園鳥類園の職員さん方、つまり本物の鳥エキスパートと一緒に香港の自然を回れるのだ!なんてラッキー!
早速教えてもらったのがアオショウビン (White-throated Kingfisher)。
豆みたいにしか見えていないのに、すぐにIDまで。
■ アオショウビン (White-throated Kingfisher) Halcyon smyrnensis
しばらくするとその後ろの流木にカワセミ (Common Kingfisher)が。
この2種って縄張りが重なってもOKなのかなぁ。
■ カワセミ (Common Kingfisher) Alcedo atthis
続いてタカサゴモズ (Long-tailed Shrike)。
豆写真でも初撮影種はとても嬉しい!
■ タカサゴモズ (Long-tailed Shrike) Lanius schach
ダイサギ (Great Egret)。
■ ダイサギ (Great Egret) Ardea alba
カササギの仲間のBlue Magpie (サンジャク)。
カササギは英語でMagpieといい、この仲間はカナダでも何度かみかけた。Magpieでマグピーと発音するのだとばかり思っていたが、マグパイと発音すると教えていただいた。7年間ずっと勘違い。恥ずかし・・・
■ Blue Magpie (サンジャク) Urocissa erythrorhyncha
鳥のエキスパート in 香港のマングローブ林。
マングローブから高層マンションが見えるところが香港らしくておもしろい。
このマングローブを構成している種のひとつオヒルギ (Black Mangrove)。
まるでタコウインナーの様な花が特徴的。その下に果実が成長している。
■ オヒルギ (Black Mangrove) Bruguiera gymnorhiza
■ オヒルギ (Black Mangrove) Bruguiera gymnorhiza
この果実は海水には浮き、淡水には沈むという絶妙な比重を持っている。
これがどういう意味かというと、木から落ちた果実は海水に運ばれ、彼らの好む汽水域にくると芽の出る方を上にして着底する。
鳥に果実を食べてもらって生息域を広げる植物もいれば、この様に果実を海へ流して生息域を広げる植物も。
植物だって命をつないでいくため大変な競争の中を生き抜いている。
■ オヒルギ (Black Mangrove) Bruguiera gymnorhiza
沖縄でよくみられるアダン (Pandanus odoratissimus)。
■ アダン (Pandanus odoratissimus) Pandanus odoratissimus
今回びっくりしたのがあれだけたくさんいた甲殻類はほとんどいなかったということ。
シオマネキ類は4種みれるのだが、見つけられたのはハクセンシオマネキ (Milky Fiddler Crab)のみ。
OさんはNorthern Calling Fiddler Crab (ホンコンシオマネキ)をみつけて写真を撮られていたが・・・
■ ハクセンシオマネキ (Milky Fiddler Crab) Uca lactea
石の間にいたMetopograpsus quadridentatus (メトポグラプサス・クアドリデンタトゥス)。
鉗脚が紫色をしている。
この種は目が合うとすぐに石の隙間に逃げ込んでしまうので、なかなか捕まえるが難しい。今回は気温が低いおかげで楽に捕獲できた。
■ Metopograpsus quadridentatus (メトポグラプサス・クアドリデンタトゥス) Metopograpsus quadridentatus
■ Metopograpsus quadridentatus (メトポグラプサス・クアドリデンタトゥス) Metopograpsus quadridentatus 甲幅25mm
パープルの鉗脚。
■ Metopograpsus quadridentatus (メトポグラプサス・クアドリデンタトゥス) Metopograpsus quadridentatus 甲幅25mm
若い個体。
■ Metopograpsus quadridentatus (メトポグラプサス・クアドリデンタトゥス) Metopograpsus quadridentatus 甲幅13mm
日本では沖縄島や西表島などからの記録があるマルミトラノオガニ (Heteropanope glabra)。
■ マルミトラノオガニ (Heteropanope glabra) Heteropanope glabra 甲幅12mm
個人的に日本産のものと随分雰囲気の違うタカノケフサイソガニ (Brush-clawed Shore Crab)。
雄の鉗脚には毛が生えていて、同属のケフサイソガニ (Hemigrapsus penicillatus)よりも量が多い。
■ タカノケフサイソガニ (Brush-clawed Shore Crab) Hemigrapsus takanoi 甲幅14mm
■ タカノケフサイソガニ (Brush-clawed Shore Crab) Hemigrapsus takanoi 甲幅16mm
抱卵個体。
■ タカノケフサイソガニ (Brush-clawed Shore Crab) Hemigrapsus takanoi 甲幅10mm
■ タカノケフサイソガニ (Brush-clawed Shore Crab) Hemigrapsus takanoi 甲幅10mm
続いて貝類。
カンギク (Lunella coronatus coronatus)
■ カンギク (Lunella coronatus coronatus) Lunella coronatus coronatus 殻長15mm
アマオブネガイの仲間。
殻長15mm
殻長15mm
タマキビ属かな。
殻長10mm
殻長10mm
ヤエヤマヘナタリに似ているがどうだろう・・・
殻長15mm
フトヘナタリ???
殻長15mm
殻長13mm
カリガネエガイ???
日本産ならカリガネエガイで良いと思うが、海外となると安易に決めつけることができない・・・
殻長37mm
自分の勝手な提案でマングローブ林を突っ切る。
この後トレイルへ戻る道が分からず、みなさんにはご心配をおかけしました・・・旅の思い出としてお許しください。
案内するつもりがNさんに案内されている写真。
脱皮に失敗して死んだトゲノコギリガザミ (Green Mud Crab)。
■ トゲノコギリガザミ (Green Mud Crab) Scylla paramamosain
大きなトゲノコギリガザミ (Green Mud Crab)の巣穴。
マングローブからステージを変え、再びバーディング。
Red-whiskered Bulbul (コウラウン)は香港ならいたるところで見る事ができる。
■ Red-whiskered Bulbul (コウラウン) Pycnonotus jocosus
■ Red-whiskered Bulbul (コウラウン) Pycnonotus jocosus
東涌川で餌を探しているシロハラクイナ (White-Breasted Waterhen)。
■ シロハラクイナ (White-Breasted Waterhen) Amaurornis phoenicurus
餌探しに夢中のアカガシラサギ (Chinese Pond Heron)。
■ アカガシラサギ (Chinese Pond Heron) Ardeola bacchus
White-rumped Munia (コシジロキンパラ)。
■ White-rumped Munia (コシジロキンパラ) Lonchura striata
最も覚えやすい学名を持つ生き物のひとつ、カササギ (Eurasian Magpie)。
学名はPica pica。ほら、もう覚えたでしょ?
■ カササギ (Eurasian Magpie) Pica pica
Crested Myna (ハッカチョウ)。
クチバシの上にみえるのは冠羽。英名のMynaというのはハッカチョウの仲間を指す単語のようだ。
■ Crested Myna (ハッカチョウ) Acridotheres cristatellus
何度か通った場所なのに、これだけの野鳥がいたなんて、今までどこを見てたんだバカ!といいたくなるほどの大発見。
自分の知っている場所がまた新しい色を持って生まれ変わった感じ。
今回は本当にご一緒できて嬉しかったです!
葛西臨海公園鳥類園のみなさん、遠いところわざわざ来ていただいてありがとうございました!(まるで香港に住んでいるかのような言い方)
<撮影種一覧> 21種
<植物>
■ オヒルギ (Black Mangrove) Bruguiera gymnorhiza
■ アダン (Pandanus odoratissimus) Pandanus odoratissimus
<貝類>
■ カンギク (Lunella coronatus coronatus) Lunella coronatus coronatus
■ Onchidium hongkongense (オンキディウム・ホンコンゲンセ) Onchidium hongkongense
<甲殻類>
■ タカノケフサイソガニ (Brush-clawed Shore Crab) Hemigrapsus takanoi
■ マルミトラノオガニ (Heteropanope glabra) Heteropanope glabra
<魚類>
■ フナ属の1種 (Crucian Carp) Carassius sp.
<鳥類>
■ アカガシラサギ (Chinese Pond Heron) Ardeola bacchus
■ シロハラクイナ (White-Breasted Waterhen) Amaurornis phoenicurus
■ アオショウビン (White-throated Kingfisher) Halcyon smyrnensis
■ タカサゴモズ (Long-tailed Shrike) Lanius schach
■ カササギ (Eurasian Magpie) Pica pica
■ Blue Magpie (サンジャク) Urocissa erythrorhyncha
■ Crested Myna (ハッカチョウ) Acridotheres cristatellus
■ White-rumped Munia (コシジロキンパラ) Lonchura striata