今日は曽根干潟(Sone Tidal Flat)に行ってきた。
ちょうど一年前、カブトガニ (Japanese Horseshoe Crab)の産卵をみたくて福岡県に撮影旅行に行った。
しかし初めて訪れる場所のどこでカブトガニ (Japanese Horseshoe Crab)がみられるかは素人には到底分かるはずもなく悲しくも空振りに終わっていた。
そして1年後、またカブトガニ (Japanese Horseshoe Crab)の産卵の季節が訪れた。今回は離れて暮らす父親を誘い、親子旅行を兼ねて曽根干潟へ撮影旅行だ!
広島県の三次市で合流し、福岡を目指す。
関門海峡は相変わらず潮の流れがめちゃくちゃ早い。
家を出て5時間、やっと曽根干潟へ到着した。
現地では再び昨年お世話になったカブトガニを守る会の高橋先生に産卵場所を案内していただいた。
カブトガニ (Japanese Horseshoe Crab)は砂底に産卵するため、干潟の中でも砂地の場所で待つことが大切。
今シーズン、カブトガニ (Japanese Horseshoe Crab)の産卵は順調の行われているようで、砂の上を観察していると早速卵の固まりを確認。こんなに簡単に卵がみつかるとは、やはりすごいところだ曽根干潟。
■ カブトガニ (Japanese Horseshoe Crab) Tachypleus tridentatus
カブトガニ (Japanese Horseshoe Crab)の産卵場を守っていくため、砂の不法採取を禁止する看板。
4億年も前から地球に存在しているカブトガニだが、底質の粒度が少し違うだけで産卵が上手くいかなくなるという、繊細な面も持っている。
今日の満潮は夜の12時。
カブトガニ (Japanese Horseshoe Crab)の産卵は満潮時にみられるので、それまではしばしの休憩だ。
しかしその前になんとも悲しくなるような写真を撮影しなければならない。
今シーズン、曽根干潟ではカブトガニ (Japanese Horseshoe Crab)の成体の大量死がみられている。
高橋先生をはじめとする保護活動のメンバーの方々がその死骸を並べていた。
「300匹死んだっちゅうても、言葉だけじゃイメージがわかんやろ。こうやって300匹の死体を実際にみると、うわぁと衝撃を受ける。何とかせなと思ってくれる人が少しでも増えてくれれば、こうやって臭い思いして並べとる甲斐がある。メディアも取材しにくるかもしれん。」
高橋先生の思いが強く伝わる衝撃的な景色。
約300匹の成体の死骸たち。
悪臭がひどく、肺の中まで腐乱臭で満たされている気分。
■ カブトガニ (Japanese Horseshoe Crab) Tachypleus tridentatus
カブトガニ (Japanese Horseshoe Crab)が成体になるためには10年以上もかかる。
■ カブトガニ (Japanese Horseshoe Crab) Tachypleus tridentatus
この大量死は海水温の上昇が原因なのか、海底の貧酸素が原因なのか、化学物質による公害なのか、それとも生息数が多い世代の寿命と重なったのか全く分かっていない。
この希少な種を保護するためにも原因を調査することが早急に求められる。
暗い気持ちになったが、気を撮り直し曽根干潟の生き物たちを写真撮影。
まずはハクセンシオマネキ (Hakusen Shiomaneki)のメス。
のんきに餌を食べている姿がかわいらしい。
■ ハクセンシオマネキ (Hakusen Shiomaneki) Uca lactea
続いてハクセンシオマネキ (Hakusen Shiomaneki)のメスの似たチゴガニ (Chigogani)。
ハクセンシオマネキ (Hakusen Shiomaneki)のメスよりも鉗脚が大きいのと、オスはウェービングといって両方の鉗脚を上に振ってバンザイをするような仕草をするので見分けることができる。
甲の側面が空色をしているのも特徴だ。
■ チゴガニ (Chigogani) Ilyoplax pusilla
■ チゴガニ (Chigogani) Ilyoplax pusilla
最も多くみられたのがヤマトオサガニ (Yamato Osagani)。
上の2種よりもより泥の場所を好む。
■ ヤマトオサガニ (Yamato Osagani) Macrophthalmus japonicus
■ ヤマトオサガニ (Yamato Osagani) Macrophthalmus japonicus
やっぱり干潟はワクワクするなぁ。
それでは産卵行動の撮影の前にホテルへチェックイン。
でもせっかく来ているのだから休憩せずにまずは干潟の生物の写真をゆっくり撮ろうかなぁ。