今日はHa Pak Nai(下白泥)に行ってきた。
香港城市大学のビリー博士に大学を案内していただいた後、香港(Hong Kong)の北にあるYuen Long District(元朗区)のHa Pak Nai(下白泥)へ連れて行ってもらった。
なんと香港にもカブトガニ (Japanese Horseshoe Crab)がいるのだ!
Kowloon(九龍)地区からMTRに乗り、30分かけてYuen Long(元朗)駅へ、そこからミニバスで40分かけて目的地のHa Pak Nai(下白泥)へとやってきた。
こんなに難しいルートは地元の人じゃないと分からないだろう。
ミニバスを降り、ビーチへと向かう。ドキドキで胸が爆発しそうだ・・・
そして目の前に広がった景色を見てさらにドキドキ。
香港にもこんな綺麗な場所があるんだ~!!!
さっそく砂地でみつけたのがハクセンシオマネキ (Hakusen Shiomaneki)。
大好きなシオマネキ類がたくさんいる~!!!
■ ハクセンシオマネキ (Hakusen Shiomaneki) Uca lactea
似たような場所にたくさんいたNorthern Calling Fiddler Crab (ホンコンシオマネキ)。もちろん初撮影種だ!!!
鉗脚(ハサミ)が異常に大きく、このアンバランスさがかっこいい!
日本に生息していない種を撮影できたときの達成感はたまらない!!!
■ Northern Calling Fiddler Crab (ホンコンシオマネキ) Uca borealis
■ Northern Calling Fiddler Crab (ホンコンシオマネキ) Uca borealis
■ Northern Calling Fiddler Crab (ホンコンシオマネキ) Uca borealis
■ Northern Calling Fiddler Crab (ホンコンシオマネキ) Uca borealis
この種はちょっとどんくさく、簡単に手で捕まえることが出来る。
特に水の中に逃げ込んだ個体は楽に捕まえる事ができた。
砂地の場所から移動していくと泥の場所へと変わった。
ここはマングローブ林。
日本では鹿児島県以南でみられるメヒルギ (Kandelia obovata)だ。
■ メヒルギ (Kandelia obovata) Kandelia obovata
花は白く細長い花びらが5枚ついている。
■ メヒルギ (Kandelia obovata) Kandelia obovata
ここでビリーさんに手招きされた。
「TAQ、おいで。カブトガニをみつけたよ!」
今日は果たしてカブトガニに出会えるのだろうかと心配していたので、こんなに簡単にみつかるものなのかとビックリ。
急ぎ足でビリーさんの元へ駆け寄ると、足元に幼生がつくったトラックが残されていた。
■ カブトガニ (Japanese Horseshoe Crab) Tachypleus tridentatus
昨年初めて北九州市の曽根干潟でみたのと同じ種類、カブトガニ (Japanese Horseshoe Crab)だ!
■ カブトガニ (Japanese Horseshoe Crab) Tachypleus tridentatus
実は香港では2種類のカブトガニをみることができる。
日本にも生息しているカブトガニ (Japanese Horseshoe Crab)。
そして東南アジアに生息しているMangrove Horseshoe Crab (マルオカブトガニ)。
ビリーさんによると、この干潟では両方の幼生をみることができるらしい。
こんな夢のような場所が香港にあったなんて!!!
さすがはカブトガニ博士ビリーさん、次から次へと幼生をみつけては教えてくれる。
■ カブトガニ (Japanese Horseshoe Crab) Tachypleus tridentatus
■ カブトガニ (Japanese Horseshoe Crab) Tachypleus tridentatus
■ カブトガニ (Japanese Horseshoe Crab) Tachypleus tridentatus
とっても小さな幼生の姿も。
う~んかわいい。
■ カブトガニ (Japanese Horseshoe Crab) Tachypleus tridentatus
ズブっと泥に埋まりながら観察を続ける。
長靴がなければゲームオーバー。
何か面白い生き物はいないか~と探していると、目の前に2匹のワタリガニ科のカニの姿が見えた。
これは!
2匹ではない、脱皮したばかりなんだ~!!!
穴を掘って脱皮するのは外敵から身を守るためだろう。
観察しやすいようにそぉっと場所を移して撮影。
これは初めてみるトゲノコギリガザミ (Green Mud Crab)ではないか~!!!
さすがマングローブ林。生物相が豊かだ。
■ トゲノコギリガザミ (Green Mud Crab) Scylla paramamosain
*最初アカテノコギリガザミとしていましたが、
S・Tさんにみていただき訂正しました。
その他、マングローブ付近では赤いシオマネキ類を発見!!!
日本では希少種(絶滅危惧II類(VU))となっているシオマネキ (Shiomaneki)だ!!!
■ シオマネキ (Shiomaneki) Uca arcuata
■ シオマネキ (Shiomaneki) Uca arcuata
曽根干潟では1個体しか見ることができなかっただけにとても嬉しい!
ここで再びビリーさんに呼ばれる。
「TAQ、これをみて。Mangrove Horseshoe Crabをみつけたよ!」
「えええ~!!!」
ビリーさんの手の中にはカブトガニの幼生が入っていた。
正直違いが分からない!笑
■ Mangrove Horseshoe Crab (マルオカブトガニ) Carcinoscorpius rotundicauda
「どこが違うの?」
と尋ねると、見分け方を教えてくれた。
「大人になると見分けやすいんだけど、幼生は見分けるのがちょっと難しいよ。まず尾剣の長さをみて。カブトガニ (Japanese Horseshoe Crab)の尾剣の長さは甲の長さより短い。Mangrove Horseshoe Crab (マルオカブトガニ)の尾剣の長さは甲の長さより長いんだ。そしてその尾剣を触ってみる。カブトガニ (Japanese Horseshoe Crab)の尾剣は断面が三角形になっているんだけど、Mangrove Horseshoe Crab (マルオカブトガニ)の尾剣は断面が丸い。これで大体は見分けることができるよ。中には難しいやつもあるけどね。」
「なるほど~!あ!だから日本の和名はマルオカブトガニっていうんだ!」
■ Mangrove Horseshoe Crab (マルオカブトガニ) Carcinoscorpius rotundicauda
幼生とはいえ、Mangrove Horseshoe Crab (マルオカブトガニ)にまで出会えてしまった!!!
なんという幸運なのだろうか!
初めてみるカニにさらに遭遇。
甲が緑色で、鉗脚が紫色のMetopograpsus quadridentatus (メトポグラプサス・クアドリデンタトゥス)。
しかも喧嘩中!笑
■ Metopograpsus quadridentatus (メトポグラプサス・クアドリデンタトゥス) Metopograpsus quadridentatus
*Purple Climber Crabだとしていましたが、S・Tさんにみていただき訂正しました。
■ Metopograpsus quadridentatus (メトポグラプサス・クアドリデンタトゥス) Metopograpsus quadridentatus
ふと対岸に目をやると中国本土。深センという大都市だ。
それにしてもさっきから若い男女がものすごくたくさんいる。
しかし、カブトガニをみつけて喜んでいるのは我々2人だけ。
実はこの場所、夕陽スポットらしい。
そしてロマンチストの多い香港や中国の若者達がカップルでここに来ているのだ。
香港では見渡す限り高層ビルなので、これほどまでに開けた場所というのは珍しい。
ましてや正面に美しい夕陽が沈むのだからベストスポットになるのは間違いない。
ふと我に返って自分の今の状態を分析してみた。
想像以上の楽しさで心がすっかり満たされている。
普段のストレスが一気に解放されてとても穏やかな気持ちだ。
ああ地球に生まれて幸せ~
楽しい時間が経つのはあっという間。残念だが帰る時間がやってきた。
自分たちが降りたバス停では長蛇の列。
これを待っていたら2時間は帰れないのではないだろうか。
ここでフィールド調査をしていたこともあるビリーさん、ちゃんと裏ワザを知っている。
ここより前のバス停まで歩くという方法だ。
汗だくになりながら道路を歩いて最後の力を振り絞ったが、おかげで30分でバスに乗る事ができた。
今日の出会いは一生忘れられない宝物になるだろう。
ありがとうビリーさん!
またどこかで会いましょう!!!
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■ Cryptotympana mandarina (マンダリンクマゼミ) Cryptotympana mandarina