今日はサルボウの写真を撮った。
この貝は山陰地方の冬にはなくてはならない、ふるさとの味。
サルボウ、ここでは赤貝と呼ばれているが、これをたっぷりと鍋に入れて甘辛く煮付ける。
一度食べだすとこれが止まらない。
お皿一杯に盛られた赤貝も、一瞬でなくなってしまうほど。
島根県と鳥取県にまたがる汽水湖、中海にはかつて沢山のサルボウが生息しており、この様な食文化が生まれたのだが、残念なことに赤貝漁師は一人もいなくなってしまった。赤貝そのものがいなくなってしまったからだ。(絶滅ではなく、漁業が成立するほどの資源量がなくなってしまった。)
それでも冬にこの貝を食べる文化は残っていて、有明海や岡山県産のものが代用されている。
そしてここ数年、島根県で赤貝の養殖が試験的に行われ、わずかではあるが食用として出回るようになっている。
という貴重な中海産のサルボウをいただいたので、写真を撮って料理してみよう。
□ サルボウ (Half-crenate Ark) Scapharca kagoshimensis
□ サルボウ (Half-crenate Ark) Scapharca kagoshimensis 殻長33.4mm
□ サルボウ (Half-crenate Ark) Scapharca kagoshimensis 殻長34.1mm
□ サルボウ (Half-crenate Ark) Scapharca kagoshimensis 殻長28.4mm
□ サルボウ (Half-crenate Ark) Scapharca kagoshimensis 殻長30.3mm
□ サルボウ (Half-crenate Ark) Scapharca kagoshimensis 殻長25.8mm
よく殻を開けている個体を見かけるが、決して鮮度が落ちている訳ではない。
刺激を与えると元気よく殻を閉じる。
□ サルボウ (Half-crenate Ark) Scapharca kagoshimensis
そして赤貝という名前(ちなみにサルボウはアカガイとは別種)の由来である、赤い身と赤い血液の写真を撮影してみた。
ヘラで殻をこじ開けて軟体部を傷つけると、真っ赤な血が!!!
脊椎動物の血液の赤い成分ヘモグロビンとは別のエリスロクルオリンという物質による色なのだが、酸素を運搬するために鉄が含まれており、酸化鉄由来の赤い血液を持っている。
□ サルボウ (Half-crenate Ark) Scapharca kagoshimensis
こういう観察の仕方だと、ちょっと食欲も失せてしまいそうだが、気持ちを切り替えて調理をしてみた。
料理酒、砂糖、しょうゆ、みりんで甘辛く煮付ける。
□ サルボウ (Half-crenate Ark) Scapharca kagoshimensis
個人の感覚なので、あまり参考にならないが、中海産はより赤貝特有のクセが強い気がする。
恐らく食べつけた人はこのクセがたまらないと思う。
初めての人はちょっと戸惑うかな。
身の食感はプリプリ!
岡山県などの県外から来ているものと、水揚げしてすぐのものの差なので単に鮮度の差によるものなのかもしれないが、自分は美味いと思う!
やはり食べだしたら止まらず、一瞬でなくなってしまった。
<撮影種一覧> 1種
<貝類>
□ サルボウ (Half-crenate Ark) Scapharca kagoshimensis
□・・・養殖個体