人気ブログランキング | 話題のタグを見る

610 曽根干潟 ~カブトガニの産卵~

610 曽根干潟 ~カブトガニの産卵~_c0211532_00193469.jpg


今日は曽根干潟(Sone Tidal Flat)に行ってきた。

曽根干潟へ到着し、早速チゴガニ (Ilyoplax pusilla)たちの撮影。標本写真を撮影し、夕食をとり終えたころにはすっかりと満潮の時刻となっていた。

そう、カブトガニ (Japanese Horseshoe Crab)の産卵は夏の大潮前後の夜、満潮時に最も活発になるのだ。
大潮の満潮時は最も水位が高くなるとき。
この時に岸までくると、水辺から最も遠い場所に産卵することが可能となる。
水辺から離れた砂の中は水中よりも遥かに安全で、安定した温度が卵の発生を助けてくれる。

車を停め機材を用意し、浜辺へ降りていく。

街灯もなく、ひっそりとした雰囲気が集中力を高めて、生命感にあふれている海の力を感じさせてくれる。
ような気がする。

610 曽根干潟 ~カブトガニの産卵~_c0211532_16431330.jpg

懐中電灯を片手に波打ち際を注意深く観察する。
いたっ!!!

カブトガニのオスだ!

610 曽根干潟 ~カブトガニの産卵~_c0211532_16435076.jpg
■ カブトガニ (Japanese Horseshoe Crab) Tachypleus tridentatus


と思ったら何かおかしい。
これは死骸だ!

昨年は数々のメディアに取り上げられるほどの大量死がみられた曽根干潟だが、昨年ほどではないにしろ多くの死骸が打ち上げられている。

610 曽根干潟 ~カブトガニの産卵~_c0211532_23591962.jpg
■ カブトガニ (Japanese Horseshoe Crab) Tachypleus tridentatus


砂浜から少し離れて捨て石の場所へいくと、生命感の塊のような光景に出会う事が出来た。
トビハゼ (Shuttles Hoppfish)の大群だ。
潮が満ちてくるのと一緒に波打ち際までやってきてくつろいでいる。

610 曽根干潟 ~カブトガニの産卵~_c0211532_00034147.jpg
■ トビハゼ (Shuttles Hoppfish) Periophthalmus modestus


それにしても去年ならこの時刻ですでに数組のつがいがいたのだが、今年は少ないのだろうか・・・

と思っていたら・・・

610 曽根干潟 ~カブトガニの産卵~_c0211532_00071766.jpg
■ カブトガニ (Japanese Horseshoe Crab) Tachypleus tridentatus


来たっ!!!
カブトガニのペアだ!

前の大きい個体がメスで、オスは後ろ側にくっついている方。

ちょうど波打ち際で産卵を始めた。
なぜ産卵をしているのかどうかが分かるのかというと、メスが体を砂の中にうずめているから。
移動中は体全体が砂の上に出た状態。

610 曽根干潟 ~カブトガニの産卵~_c0211532_00072062.jpg
■ カブトガニ (Japanese Horseshoe Crab) Tachypleus tridentatus


とても神秘的な光景だ・・・

610 曽根干潟 ~カブトガニの産卵~_c0211532_00072396.jpg
■ カブトガニ (Japanese Horseshoe Crab) Tachypleus tridentatus

産卵は1箇所のみならず、数か所で行われることも多い。
産卵が終わるとメスは砂の中にうずまっていた体を出し、沖へと帰っていくか、次の場所へと移動してまた産卵する。

610 曽根干潟 ~カブトガニの産卵~_c0211532_00072605.jpg
■ カブトガニ (Japanese Horseshoe Crab) Tachypleus tridentatus


610 曽根干潟 ~カブトガニの産卵~_c0211532_00073072.jpg
■ カブトガニ (Japanese Horseshoe Crab) Tachypleus tridentatus


産卵直後の砂浜。
きれいに埋め戻されているが、少しだけ周りと様子が異なる。


610 曽根干潟 ~カブトガニの産卵~_c0211532_00073351.jpg

いい場所を求めて移動中の別のペア。

610 曽根干潟 ~カブトガニの産卵~_c0211532_00073780.jpg
■ カブトガニ (Japanese Horseshoe Crab) Tachypleus tridentatus


ここで日本カブトガニを守る会の高橋先生がいらっしゃった。
今年も来る時期についてのアドバイスをいただき、とてもお世話になっている。

高橋先生と(去年よりは多少進歩した?)会話をしていると、夕方に出会った広島大学の学生さん達、そしてこの地で長年カブトガニの調査をされている林先生も合流し、みなで感動を共有しながら観察をした。

こちらのペアはオスにたくさんのフジツボが。

610 曽根干潟 ~カブトガニの産卵~_c0211532_00074064.jpg
■ カブトガニ (Japanese Horseshoe Crab) Tachypleus tridentatus


産卵を終えて帰っていく。
610 曽根干潟 ~カブトガニの産卵~_c0211532_00074335.jpg
■ カブトガニ (Japanese Horseshoe Crab) Tachypleus tridentatus

また別のペア。
メスとオスの色味が違うペアだ。

610 曽根干潟 ~カブトガニの産卵~_c0211532_00074775.jpg
■ カブトガニ (Japanese Horseshoe Crab) Tachypleus tridentatus

産卵を終えて帰っていく。

610 曽根干潟 ~カブトガニの産卵~_c0211532_00075140.jpg
■ カブトガニ (Japanese Horseshoe Crab) Tachypleus tridentatus


610 曽根干潟 ~カブトガニの産卵~_c0211532_00193469.jpg
■ カブトガニ (Japanese Horseshoe Crab) Tachypleus tridentatus

移動中のペア。
4億年前のデザインからほとんど変わっていないだけあって、その姿にとても惹かれるものがある。
パッとみたときにどの生き物とも似ていないからかな・・・

610 曽根干潟 ~カブトガニの産卵~_c0211532_00193781.jpg
■ カブトガニ (Japanese Horseshoe Crab) Tachypleus tridentatus

まだまだカブトガニたちは産卵を続けているのだが、明日は朝の撮影もしたいし、何より島根県まで帰るための体力も温存しておかないといけない。
という訳で、なごり惜しくも最後の1枚を撮影してホテルへ戻った。

610 曽根干潟 ~カブトガニの産卵~_c0211532_00194070.jpg
■ カブトガニ (Japanese Horseshoe Crab) Tachypleus tridentatus


この光景だけは毎年撮影していきたいなぁ。
いつまでも彼らがこの浜で生命をつなげる事ができますように・・・


<撮影種一覧> 2種
<カブトガニ類>
<魚類>


by takuyamorihisa | 2017-07-26 21:10 | 福岡県